サルダナパールの最期
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10.  『サルダナパロスの死 』 ウージェーヌ・ドラクロワ (1798-1863)
1827年 カンヴァス・油彩 392×496cm パリ、ルーヴル美術館蔵




芸  術  は、  常  に  あ  ら  ゆ  る  タ  ブ  ー  の  水  底  を  こ  そ  航  海  す  る。


〜 江戸川 乱歩 〜





サルダナパール(サルダナパロス)の死
古代 アッシリア の王サルダナパールは、毎日自分のお城で放蕩三昧の暮らしをしていました。
そんな遊んでばかりいる王さまに愛想を尽かした人々は、ある日反乱を起こし
王さまのお城を完全に包囲 してしまいました。
逃げることもできず、降伏するのもいやだと思った王さまは
「それでは、仕方がない、死ぬとするか。」
とあっさり人生を諦めます。
サルダナパールは、宮殿に 大量の薪を うず高く積み上げ
そのてっぺんに、ゾウさんの飾りが付いた お気に入りのベッドをしつらえて
よっこらせと寝そべりました。
一番最後には薪に火をつけ、何もかも焼いてしまうつもりなのです。
それからお城の家来や奴隷に命じて、自分の目の前で、自分の楽しみのために奉仕してきた
女たちを殺し、自分の愛馬さえも殺し、宝物も全て打ち壊してしまいました。
自分の使ったおもちゃは、自分が死んだ後には もう必要のないものだからでした。
奴隷の手にかかって死ぬことを恥とした女のひとりは、天井から首をくくって死んでいました。
すさまじい殺戮と混乱の光景 を、王さまはまるでつまらない劇でも見ているかのように
ひとり傲然と眺めていたそうな . . . 。


1827-28年のサロンに出品されたこの絵は、
『キオス島の虐殺』 に続いて厳しい非難の対象となった。
その直後、ドラクロワは政府から呼び出しをうけ

「ドラクロワくん、君の腕前が素晴らしいのは分かっている。
しかし君の絵はちょっとアブナイから画風を変えなさいよ
そうすればこちらとしても悪いようにはしないからサ 」

と警告までされてしまったという。
まるで初めて悪さをして校長に呼び出された優等生の如しである。
(不良ではなく、規則に背いた優等生というか。本人はいたって真剣。)

アカデミズムはびこる当時の画壇に挑戦した大胆不敵な野心作だったのだが
ぶっちゃけ、主題において、芸術家が自分のしゅみにはしりすぎた作品 なんだと思われる。

残虐、陰惨、狂気、殺戮、破壊。
青年期のドラクロワが 《文学的に》 好んでいたこれらの要素は
人間の本質の一部であるにもかかわらず
暗黙のうちにタブーとされているものばかりだった。

ドラクロワは、この作品の主人公サルダナパールを
理性も道徳も超越した、悪と善の価値感がまるで逆さになってしまった魔界の王のような
男が心の底でチョッピリあこがれる夢の男性像として描いたのではないだろうか。
んで まぁ もちろんそんな夢をむさぼれば当然しっぺがえしをくらう。
おごれる者は久しからず。
王は今まさに死に行く運命にある。

だが世間にはドラクロワが作品に込めた 「漢のロマン」 (かっこつけて言うと叙情性)は
全く理解されなかったらしい。
人々は、サルダナパールは反道徳で非情な ただのバカ殿という姿しか
見てくれなかったのだ。





私はこのサロンのすべてにうんざりしました。
彼らは、私が正真正銘の大失敗をしたとして、結局は私を責めているのです。
彼らの或る者は、それは完全な失墜だと言っています。
ロマン派あるが故に、『サルダナパロスの死』は、ロマン派の死であると・・・・・

書簡より抜粋ドラクロワより レイモン・スーリエ宛書簡



自分は画家として賞賛されるべき才能と技術は持ち合わせているはずなのに
なんでもんくばっかり言われるんだ?!(ウジェーヌ得るべき名声を逃す。
おまけに 絵の悪評を気にした政府が 《サルダナパール》 の買い上げを取り止める。
あてにしていたお金がもらえず、生活困窮!)


自分のしゅみを前面に押し出すと、どうも受けが悪いらしい。
変態とののしられるのがオチだ。(ウジェーヌ反省する)

画家として生きていく以上、もっと普遍的な芸術とやらを描いて
世に認められる必要がある。(ウジェーヌ傾向と対策を練る)

七月革命勃発

前回の失敗を踏まえて 『自由の女神』 を制作。
自分が祖国のためにできるのは絵を描くことです。
(だって僕、病弱だし)

めでたく 『自由の女神』 は好評を得て、政府お買い上げとなる。
ついでにレジオン・ドヌール5等勲章をもらう。(ついでってなんだ)

外交使節団の随員として、モロッコ行き決定。
画家として新たな転機を迎える。



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ドラクロワ之肖像
http://www7.wind.ne.jp/azarashi/delacroix/d-top.html