2000年7月19日の上毛新聞の「ひろば」に掲載された文章                         (掲載通算192号)     「心身の健全が基本」  心を強く持てば何事も乗り切れると信じていました。昨年の事故入院、腰痛や病 気などで体調が悪化。歩行困難、食欲もなく無為に日をすごすありさま。心身とも に健全こそ基本だとあきれる始末で、人間とは生来性悪であり、悟ったつもりでも 日記さえやっとというところ。修養と自省で性善となり、人並みに生きていけるよ うです。  相次ぐ凶悪事件を見ても分かるように、自制心の欠如とジキルとハイドの内面抗 争を露呈しています。社会全体が急進して追いつかず、体力不足で己の欲望が優先 し、他人への配慮に欠けるようです。  幼少からの心の教育が欠如し、頭でっかちで平然と善悪のけじめがつかないので は、鳥の鳴かない日はあっても、凶悪事件の報道されない日はないという感じです。  文明と良心は反比例するようです。「雀百まで踊り忘れず」「三つ子の魂百まで も」といいます。時にはこずかれながら集団で遊び、野山を駆けめぐり、田の小川 でフナやドジョウをとったり、長幼の序は自然に身につきました。私の周辺で残る のは観音堂境内だけになりました。岡山のバット事件で「先輩が生きていて良かっ た」との被害少年の言葉にほっとしています。