2000年5月10日の上毛新聞の「ひろば」に掲載された文章                         (掲載通算190号)     「普通の人でありたい」  法律で子供虐待に対処するなんて考えもしなかった。1人しか生まないで甘えん 坊に育て、育成する親も精神的には子供のまま。利己主義で核家族化も原因の1つ と思う。  私の子供時代は素足で駆け回り、粗衣粗食が普通だった。野山を集団で遊んだか ら長幼の序も自然と身についた。テレビどころかラジオさえ貴重だった。頭でっか ちになる余裕さえなかったし、養蚕や田植えの時期には手助けのため、農繁休暇さ えあった。  学校に行く前には玄関や庭などを掃除してからだった。「朝は朝星、夜は夜星」 で働く親の背中を見て育ったからだが、今は家事など手伝う子供が何人いるか。  パソコンだ、インターネットだと、頭だけ発達し、逆境に耐えられない。犯罪に 巻き込まれたり、時には大人顔負けの事を平然と行って反省もない。  「立志」と言って15歳になれば大人の仲間入りとなる。行動に責任を持たせる べきで、少年法は甘すぎる。時代が進むほど精神力や人情は低下するが、普通の人 でありたいと思う。