2000年4月5日の上毛新聞の「ひろば」に掲載された文章                         (掲載通算189号)     「不屈の闘志で悲願の賜杯」  大相撲大阪場所は波乱続きだった。小兵の名力士、若乃花が限界を感じて引退。 郷土力士の琴錦や湊富士が途中休場したのは寂しかった。  心技体の1つでも欠ければたちまち下位に落ち、勝ち上るのには一層の努力が 必要となる。だが、今場所の貴闘力には闘志が感じられ、これはと思ってテレビを 見ていた。  大関候補の武双山を破って12連勝。2横綱に敗れたとはいえ、楽日に雅山を 這わせて13勝2敗。自力で賜杯を手にした。幕じりからの遅咲きと初優勝。感 きわまってタオルで涙をぬぐう姿に泣かされた。  不屈の闘志と努力は必ず実を結ぶ。「人生その気になれば・・・」の見本のような 大殊勲である。  平幕優勝を2度も達成している琴錦に、3度目の優勝を目指して立ち上がって もらいたい。しかし、公傷制度ありとはいえ、琴ノ若も含め今場所は幕内力士6人 が休場してしまった。「無事これ名馬」。力士も受け身の練習が必要かと考えて しまう。