掲載通算45号(平成4年1月17日)    吉田茂平氏の思い出  「おくやみ欄」を見ていて驚きました。元県議会会長の吉田茂平氏の訃報で す。100歳以上は生きられると信じていただけに、人の世のはかなさを改め て悟りました。12月21日午前1時30分に昇天されたとか。  昭和22年の第1回当選以来、私の父は毎回当然のごとく、応援弁士に座談 会の前座と尽くしておりました。選挙中は父を先生の事務所に毎朝送り届ける のが日課となっていました。  明治23年生まれの父は、77歳で富士登山をするほど丈夫でしたが、直腸 がんのため80歳でこの世を去りました。吉田氏は89歳。県の最高齢者にな られると信じていたほどでしたのに。  県政5期20年、まだ車の少なかったころ、知事選で浜川の神社まで神田知 事と氏を迎えに、トラックに皆を乗せていったことなど、走馬燈のように浮か んできます。神田知事の「積善有慶」の横額も氏を介していただき、「おれが 横取りしたと思われぬように」と、領収書を書いた思い出もあります。  私の父は、年こそ違え23日、氏は21日に不帰の客となられ、くしくも同 日同時の告別式となりました。肝胆相照らした仲の不思議さを感じています。 「人見花 花観人」の色紙を見つめて涙がこぼれましたが、今はただ、心から ご冥福を祈願申し上げます。