掲載通算21号(平成2年10月8日)    この女を裁けるか  テレビを見ていてショックを受けた。板金工場経営中の年下の夫と、愚かにも 思い上がった愛人を刺した人妻の哀れさに泣けた。耐えに耐えた心の痛みを暴発 させた加害者こそ被害者ではないだろうか。罪を憎んで人を憎まずで臨んでもら いたい。  子供を生めなかった女に、その夫の子を宿したといった女のむごさ、思い上が り。言わせた男の憎むべき非常さ。身勝手さ。  昔見たアメリカ映画「母の旅路」で家中おえつした思い出があるけれど、この 加害者を真に裁ける人がいるだろうか。 この女(ひと)を裁ける検察官や裁判官が果たして幾人いるだろうか。近所に、 人々にわびた女の心情に改めて涙した。