掲載通算20号(平成2年8月13日)    武田鉄矢さんの母の心  毎週土曜日早朝の「テレビ寺子屋」をかかさず見ていて、先生方の話に合点し て共鳴しているけれど、特に吉岡たすく先生のひょうひょうとしたお人柄と話さ れ方に引き込まれていき、とても参考になる。7月28日は珍しく武田鉄矢さん のお母さんと、吉岡先生の対談であった。大正8年生まれの母親のなんとしっか りした信念としっかりした大きな愛にすっかり感心してしまった。鉄矢さんが卒 業3カ月前に、3日の約束で海援隊3人で上京してしまったこと、7人兄弟の打 ちに人栄養失調でなくなられたこと、1番下の鉄矢さんが小3のくらいからよく 母親の手助けをしたこと。善悪包み隠さず話された。  そして「子供の好きな道に進ませるのが1番良い、いやなことは真剣になれな い」など一言一言に母の心がにじみ出ていた。そしていつでも復学できるよう黙 って4年間も授業料を納めていたことには、改めて頭が下がった。  このごろの母親は、自分勝手に振る舞うくせに、勉強、勉強と口だけはうるさ い。そんな母親たちにつめのあかでもと思った。子を信ずる母、母に尽くす子、 鉄矢さん母子の愛のきずなの強さに自分を振り返ると赤面の至りであり、母の愛 の深さに心から頭が下がった。そしてその母親像は「母にささげるバラード」そ のものであったことを知った。