掲載通算16号(平成2年5月6日)    古墳文化と国宝展  先月の末、あまりよい天気ではなかったが、思い立って群馬の森と県立歴史博 物館へ出掛けた。念願だった友の会の入会手続きをし、藤ノ木古墳の出土品をし みじみと鑑賞しそして観音山古墳などと比較して、相似点の多いのに驚いた。歩 く時代の文化であり、太古へのロマンをかき立てられた。解説書を求め、悦に入 って眺めたり、読んだり。そして発掘の苦労と忍耐力に、あらためて頭が下がっ た。  翌日は東京上野の森の国立博物館へ。まさに国宝展、一番最初の夢違観音像に 思わず合掌、普段ではお目にかかれない名品の数々。源氏物語絵巻の所はしばら く見る番が来なかった。そして私の一番好きな日本刀、ここは2回もまわって感 動をかみしめた。そして一般の展示物も。わけても太田市出土の武人埴輪には、 故父に似た面影を見て、しばらくその場を動けなかった。  約3時間半、人波にもまれながら少しも休まず、先人の遺物に目をこらした。 しかし目は痛む、足は棒になるの後遺症にはいささか閉口した。そして期変わり の出展物もあり、まさに商売人はだしのやり方に脱帽したが、ともあれ5月27 日の楽日までには今一度実物に目通りしたい。