掲載通算14号(平成2年4月7日)    建設業界好況の陰で  建設業界は景気がいいといわれるが、熟練労務者の不足で工期の大幅に遅れる 業者があるという。私も元小公務店兼大工としての意見を言いたい。一般企業に くらべ、昇給もなく、老後の保障退職金など全く無いこと、私に言わせれば、建 退共など義務づけられた飾り物にすぎない。一言で言えば夢も希望もないことだ と思う。  大工などの技術者は若年者が少なく老年化するばかりで、このままでは木造の 高級住宅(良い仕事)などできなくなるだろう。私の家業も後継者が無く、左手 に障害もあり断念した。たまに友人のところを手伝うくらいで、見渡したところ、 どこも同じ運命が待っている。大手、中堅業者は談合や下儲けのピンハネばかり 考えず、自前で技術者を養成し直接工事をやるべきであろう。そして各種保険、 年金など老後を保障してやるべきだ。  昨年11月に腰と胸を打って、ある建設会社の労災で通院し、何日か休業し年 末に保障を会社に提出したが、3月末になっても音さたがないので基準局に問い 合わせたところ、会社から提出されていないとのこと、責任も持たず万事この調 子では人を使う資格を疑う。もっと誠意と愛情がなければ、人も集まるまい。