掲載通算13号(平成2年3月28日)    「坂東33カ所巡り」で  亡妻の3回忌を元年8月末に済ませ、思い立って、坂東33カ所観音巡拝にR 社のツアーに参加。9月1日に埼玉4カ寺、10月、11月、12月、2年1月、 2月は各1泊で最終は2月19日−20日と白浜に宿泊し、浅草寺から千葉南部 5カ寺巡拝で結願となった。  車で容易に行ける平地の寺、寒中でも汗ばむほどの急坂か石段をあえぎ上って の寺、コンクリート造りとなった近代寺院から国宝重文急の古寺、わけても笠森 寺は風雨で参堂できず周りを回っただけだったが再度行きたい舞台づくりの国宝 である。自然と人工の妙、そして先達について心経など唱名していると、泌々と したものが身内にわいてきて実にさわやかである。  同志として旅を続けていると、身内に似た親しみを覚える。何事もなく巡拝で きたのは自己管理もさることながら身内に不幸がなかったことだと同行のK氏が 言われたが、何事も完遂することの難しさを思い知らされた。参加者のうち結局 1回も休まなかったのは14人きりで、那古寺で巡拝筆をいただき心の賞状とな った。  人間、目標達成のためには努力すれば何とかなると、初老にしての悟りは少し 遅かったけれど。気心も知れて来ての会者定離は本当にさびしいけれど西国四国 にての再会を約して、空元気で手をふった。心友を得て老いの坂も楽しく上れる のは実にうれしく、そして力強い。